在庫管理を簡単にする方法|誰でも回せる仕組みづくりのコツ

在庫管理を簡単にするコツは、管理する品目を絞り、置き場所を決め、記録を一手間にし、在庫数をチームで共有することです。属人化を防ぐ仕組みづくりを解説します。

在庫管理が難しく感じられる理由の多くは、仕組みが「一人の几帳面な担当者」「長いExcel」「記憶」に頼っていることにあります。在庫管理を簡単にするには、がんばり方ではなく仕組みを変えることです。管理する品目を絞り、モノごとに置き場所を決め、記録を一手間で済むようにし、在庫数をチーム全員が見られる場所に置きます。

大がかりなプロジェクトは必要ありません。小さなチームなら、ほとんどの見直しは半日ほどで始められ、一つ整えるごとに次が楽になります。

「簡単な在庫管理」とはどんな状態か

簡単な在庫管理とは、チームの誰もが「いくつあって、どこにあるか」を、人に聞かずに数秒で答えられる状態です。これが判断基準です。答えが特定の人の頭の中や、一人しか読み解けないファイルの中にあるなら、見た目がどれだけ整っていても簡単な仕組みとはいえません。

簡単な仕組みには、次の三つの特徴があります。

  • 誰でも読める。 新しく入ったメンバーでも、初日から品目と数量を探せます。
  • 更新の手間がほとんどない。 軍手を一箱持ち出したと記録するほうが、記録を省くより早く済みます。
  • 記録と棚が一致している。 記録上ガムテープが4巻なら、棚にも4巻あります。

三つ目は、一つ目と二つ目が揃って初めて成り立ちます。見るのも更新するのも面倒だと、人は記録をやめてしまい、帳簿と実在庫がずれていくからです。

在庫管理が複雑になっていく理由

在庫管理は、最初から複雑なわけではありません。少しずつ複雑になっていきます。

担当者そのものが仕組みになる。 Excelを作った人だけがその中身を信用している状態です。その人が休めば何を発注すべきか誰にもわからず、異動や退職をすればノウハウも一緒にいなくなります。いわゆる属人化です。

記録が後回しになる。 忙しい日に在庫を持ち出し、「あとで書こう」と思う。その「あと」が週末になり、何をどれだけ使ったか誰も正確に覚えていません。

置き場所が決まっていない。 同じ品物が二つの棚と車に分散している。探しても見つからず追加で注文し、結果として誰も見つけられない余剰在庫が生まれます。

すべてを同じように管理している。 プロジェクターとボールペンの箱に、同じ項目、同じ確認、同じ手間をかけている。一覧は長くなり、本当に大事な品目が埋もれていきます。

管理する品目を絞り込む

在庫管理を簡単にするいちばんの近道は、意識して管理する品目を減らすことです。棚にあるものすべてを一覧に載せる必要はありません。

欠品すると業務が止まるもの、高価なもの、いつの間にか減っているものは、しっかり管理します。プリンターのトナー、よく売れる商品、共用の備品などが当てはまります。クリップの瓶は、たいてい当てはまりません。

それ以外は、ゆるく扱って構いません。安くて互換性のある消耗品は一つの名前にまとめる(5色のペンを「事務用ペン」とする)か、一覧から外して、減ってきたら引き出しを補充するだけでも十分です。短い一覧は更新され、長い一覧は放置されます。

数か月に一度は一覧を見直しましょう。長く動いていない品目は整理し、毎回想定外の欠品を起こす品目は追加します。

モノの住所を決めてラベルを貼る

すべての品目に、決まった置き場所を一つ用意します。名前の付いた棚、箱、部屋、車両などです。置き場所が決まっていれば、探すのも数えるのも数秒で済みます。

保管場所の名前は「倉庫奥・B棚」「2号車」のように、普段使っている言葉で付け、表記を統一します。どうしても二か所に置く品目は、両方の場所にそれぞれの数量を記録すれば、どこにいくつあるかが常にわかります。

ラベルは置き場所を目に見えるようにします。棚や箱、取り違えやすい品物には、はっきりしたラベルを貼りましょう。QRコードやバーコード付きのラベルにすれば、読み取るだけで該当の記録を開けるので、入力も検索も要りません。

記録は「その場で一手間」にする

記録に数秒以上かかると、人は省略します。対策は、記録を「あとでやる別作業」にせず、モノを取る動作の一部にすることです。

シンプルなルールをいくつか決めておきます。

  • その場で、そのときに記録する。 あとで机に戻ってからではなく、在庫のある場所でスマホやタブレットから入力します。
  • 一つの変化に一つの操作。 一つ取ったらマイナス1、五つ補充したらプラス5。申請書も余計な項目もいりません。
  • 棚卸では数えた数が正解。 実際に数えた数量をそのまま入力し、計算で合わせません。
  • 移動は移動として記録する。 倉庫から現場へ持ち出したら、出た場所と入った場所の両方に記録します。

ルールは数行にまとめ、作業する場所に貼っておきます。付箋に収まるルールこそ守られます。

在庫数をチーム全員で共有する

在庫管理は、一人の仕事ではなくチームで共有する情報になったとき、簡単になります。在庫を使う人、補充する人の全員が、変更のたびに更新される同じ数字を見られるようにしましょう。

リアルタイムで共有された数字があれば、「まだ残ってる?」という問い合わせ、二重発注、確認のためだけに倉庫へ歩く手間がまとめてなくなります。担当者が休んだり辞めたりしても、ノウハウは人ではなく仕組みに残ります。

履歴が見えることも大切です。誰が、いつ、どこで数量を変えたかがわかれば、在庫のずれは言い争いではなく、ちょっとした確認で解決できます。

在庫が減ったら知らせてもらう

すべての棚を見回って少ないものを探すのは、時間がかかるうえに忘れがちです。代わりに、重要な品目ごとに「この数を下回ったら発注する」という基準を一度だけ決め、在庫がそこまで減ったら仕組みに知らせてもらいましょう。

基準は、発注から届くまでのあいだ業務を続けられるだけの余裕をもって設定します。あわせて、商品名やいつもの購入先など「発注方法」の短いメモを残しておけば、いつもの担当者でなくても誰でも発注できます。

在庫管理を簡単にするチェックリスト

ステップ やること 効果
品目を絞る 大事な品目だけ管理し、安い消耗品はまとめる 短い一覧は最新のまま保てる
置き場所を一つに決める 棚・箱・部屋・車両に名前を付ける 探す・数えるが数秒で済む
ラベルを貼る 保管場所と取り違えやすい品物に、必要ならQRコード付きで 探さない、入力しない
その場で記録する 一つの変化に一つの操作を、棚の前で 記録と棚が一致する
数字を共有する 全員が同じリアルタイムの在庫を見る 属人化しない
発注点を決める 重要な品目ごとに基準と発注メモ 欠品を早めに防げる
定期的に見直す 数か月に一度、一覧を点検する 仕組みが小さいまま保てる

今のやり方で十分なケース

新しいツールがまったく要らない場合もあります。一人か二人が、一か所で、少なく安定した品目を管理しているなら、きちんと更新されたExcelや、倉庫の扉に貼った紙の在庫表でもうまく回ります。ツールよりも、ここまでの習慣のほうが大切です。

卒業のサインは実務に表れます。複数の人が在庫を更新する、品物が複数の場所にある、ファイルが最新でないことのほうが多い、あると思っていたものがたびたび切れる。そうなったら、共有型のアプリのほうが、導入の手間以上に時間を節約してくれます。

Tanaでできること

Tanaは、この記事で紹介した習慣に沿って作られた、チームで使う在庫管理アプリです。チーム全員が同じリアルタイムの在庫数を見られます。

アイテム(数えるもの)とストレージ(棚、箱、部屋、車両などの保管場所)を登録します。在庫はストレージごとに記録され、アイテムの合計は自動で足し合わされます。記録はワンタップで、増減は − と +、棚卸では = で数えた数量をそのまま設定します。ストレージ間の移動も、移動として記録できます。

アイテムとストレージのQRラベルはWebアプリから印刷でき、iPhoneやiPadのカメラ、またはWebアプリのブラウザカメラで読み取ると該当の記録が開きます。一般的な商品バーコードにも対応しているので、メーカーのバーコードをアイテムにひも付けられます。

アイテムごとに在庫アラートの基準を設定でき、ホーム画面に表示されるほか、メールとプッシュ通知、必要に応じてSlackチャンネルにも届きます。発注方法を書いた発注メモも残せます。履歴では、誰がいつ、どのストレージで数量を変えたかを確認できます。数字を表計算ソフトで扱いたいときは、CSVでエクスポートできます。

TanaはiPhone、iPad、Macのアプリのほか、Androidを含む各種ブラウザでWebアプリとして使えます。カード登録不要の無料プランがあり、より多くの機能が必要なチーム向けに有料プランも用意しています。

よくある質問

在庫管理をいちばん簡単に行う方法は?

大事な品目だけを管理し、それぞれの置き場所を決め、変化があったらその場で記録し、在庫を使う全員と数字を共有することです。ツールはExcelでもアプリでも構いません。簡単さを生むのは習慣です。

小規模な会社で在庫管理を簡単にするには?

まず、切れると業務が止まる品目の短い一覧から始めます。保管場所に名前とラベルを付け、全員が棚の前で記録するルールを決めましょう。重要な品目に発注点を設定すれば、棚を見回らなくても何を買うべきかがわかります。

在庫管理はExcelで十分ですか?

一人で、少なく安定した品目を管理するなら、多くの場合は十分です。複数人で編集する、品物が複数の場所にある、更新が後回しになる、といった状況になると難しくなります。そのときこそ、共有型でリアルタイムの仕組みが役立ちます。

棚卸はどれくらいの頻度で行えばいいですか?

重要なものや高価なものは頻度を高く、それ以外は低くするのが基本です。変化をその場で記録していれば、棚卸は一からの洗い出しではなく、短い確認作業になります。

関連するコラム