季節商品の在庫管理:繁忙期に欠品せず、売れ残りを出さない仕入れ方
季節商品の在庫管理の基本をまとめました。繁忙期前にいつ・どれだけ仕入れるか、在庫アラートの見直し方、シーズン後に余剰在庫を残さない手じまいの進め方まで解説します。
公開日
季節在庫とは、毎年やってくる繁忙期に備えて前もって積み増しておく在庫のことです。季節商品の在庫管理で目指すことはシンプルで、需要が伸びる時期には棚に十分な量があり、シーズンが終わるまでに売り切る・使い切ることで、余った在庫の保管に困らない状態をつくることです。そのためには、過去のシーズンの実績から計画を立て、一度にまとめてではなく段階的に仕入れ、手じまいの方法をあらかじめ決めておくことが近道です。
この記事は、在庫の動きがカレンダーに左右される方に向けたものです。たとえば、お中元・お歳暮や年末年始を控えた小売店、夏に向けたカフェ、新学期前の学校、インフルエンザの流行期を迎えるクリニック、寒くなると忙しくなる工房など。季節や行事は地域や文化によって異なるため、ここで挙げる例は日付ではなく「パターン」として読んでください。
季節在庫とは?「季節」に含まれるもの
季節在庫とは、需要が毎年くり返し、予測できる形で増減する在庫のことです。わかりやすいのは天候によるもので、夏の日焼け止めや冷たい飲み物、冬のカイロや融雪剤などが代表例です。ただし、天候と関係のない「季節」もたくさんあります。
- 行事・イベント: ギフト包装、飾りつけ、季節限定の梱包資材、行事食の材料。
- 学校のスケジュール: 新学期の文房具、制服、実験用品、教室の備品。
- 会社の年間サイクル: 年度末の予算消化による備品発注、展示会の資材、イベント用キット。
- 地域の催し: 収穫期、観光シーズン、地元で開かれるスポーツ大会。
カレンダーに書き込めて、棚から出ていくものが変わるなら、それは計画しておく価値のある「季節」です。
季節商品の在庫がうまくいかない理由
季節商品の在庫は、二つの方向に失敗します。繁忙期に足りなくなれば、販売の機会を逃したり、いちばん忙しい時期に急ぎの発注に追われたりします。多く仕入れすぎれば、余剰在庫がシーズン後も棚に残り、翌年まで、あるいは値引きして売り切るまでお金と場所を占め続けます。
原因はたいてい同じで、発注が記録ではなく記憶に基づいていることです。記憶は大変だった場面を大きく覚え、落ち着いていた週を忘れがちです。何が・いつ棚から出ていったかの記録がなければ、毎シーズンがゼロからのスタートになってしまいます。
まずは前シーズンの実績を振り返る
季節商品の需要予測でいちばん頼りになるのは、前年の同じ時期に実際に起きたことです。発注をかける前に、季節商品ごとに次の点を振り返ってみましょう。
- 需要が伸び始めたのはいつで、ピークはいつだったか。
- シーズン全体でどれだけ使った・売れたか。
- 欠品したか。したなら何日で、補充までどれくらいかかったか。
- シーズン終了時に何が残り、それをどうしたか。
そのうえで、今年変わったことを反映します。拠点が増えた、取り扱い商品が増えた、行事の曜日の並びが違う、といった点です。実績の数字に小さく正直な調整を加えるほうが、自信満々の勘よりも確かです。
まだ記録がなくても問題ありません。今から記録を始め、今シーズンの計画は控えめにしておけば、来年には本当の基準ができます。
仕入れは一度にまとめず、段階的に
季節在庫を段階的に積み増すと、欠品と売れ残りの両方のリスクを抑えられます。シーズンをいくつかの段階に分け、それぞれでどれだけ持つかを決めましょう。
| 段階 | やること | 見るポイント |
|---|---|---|
| 立ち上がり | 序盤の数週間分を初回として仕入れる。仕入れ先のリードタイムを確認する。 | 序盤の売れ行き・消費ペースを前シーズンと比べる。 |
| ピーク | 実際に動いているものを見ながら、小さく早い発注で補充する。 | 在庫アラートの数に近づいているアイテム、仕入れ先の遅れ。 |
| 手じまい | 季節商品の再発注を止め、在庫を減らしていく。 | まだ多く残っているアイテムと、シーズンの残り日数。 |
| 片づけ | 残りを販売・セット化・返品・寄付・保管する。 | 何が、どこに、なぜ残ったか。 |
特に大切なのが 最終発注日 です。これを過ぎて仕入れた在庫は、シーズン中に売り切れる見込みが低いという境目です。仕入れ先のリードタイムとシーズンの終わりから逆算し、忙しくなる前にカレンダーへ書き込んでおきましょう。繁忙期に入ると、つい習慣で再発注してしまいがちです。
在庫アラートの数はピーク用に上げ、終わったら戻す
在庫アラートの数(発注点)とは、「この数まで減ったら発注を知らせてほしい」という数量です。季節商品では、適切な数がシーズンによって変わります。
立ち上がりからピークにかけては数を上げ、早めに発注できるようにします。在庫の減りが速くなるうえ、ほかの会社も一斉に発注する時期は仕入れ先の納品も遅れがちだからです。シーズンが落ち着いてきたら数を下げるか、再入荷しないアイテムはアラートを外します。ピーク用の数を一年中そのままにしておくと、もう必要のないものの発注をずっと促され続けます。
目安としては、次の納品を待つ間に使う見込みの量に、想定外に備えた少しの余裕を足した数にします。消費が速くなったり納品が遅くなったりしたら、数を上げる必要があります。
入荷の前に置き場所を用意する
季節在庫には置き場所が必要で、実は場所こそがいちばんの制約になることも少なくありません。立ち上がりの前に専用の棚やバックヤード、ラベルを貼った箱を用意し、季節商品をまとめて置いておけば、誰でも残りの量がひと目でわかります。
また、在庫を 予備(バックヤードや倉庫)と 前線(売り場、処置室、教室の棚など)に分け、どのストレージにいくつあるかを記録しておくと便利です。前線が少なくなったら新たに発注する前に予備から移動でき、両方を合わせた本当の合計もわかります。
手じまいはシーズンが始まる前に決めておく
売れ残りをどうするかを決めるベストなタイミングは、発注する前です。季節商品ごとに、次のどれに当てはまるかを決めておきましょう。
- 翌シーズンへ持ち越す: 劣化せず、デザインも変わらないもの(飾り、ヒーター、工具など)は保管して来年に回せます。数を数え、箱にラベルを貼り、どこにしまったかを記録します。
- 売り切る: 需要が残っている終盤のうちに、セット販売や値引き、販促で売り切ります。
- 返品する: 売れ残った季節商品の返品に応じる仕入れ先もあります。条件と期限は発注前に確認しておきます。
- 転用・寄付する: 売れる見込みのないものも、社内で使ったり寄付したりできる場合があります。
どの方法を選ぶにしても、シーズン終了時にはきちんと棚卸をしましょう。その数が次のシーズンの出発点になります。
ノートやExcelで十分な場合
季節在庫の管理に、必ずしも専用の仕組みが必要なわけではありません。季節商品が数えるほどで、発注する人が一人、すべてが一つの棚に収まっているなら、ノートやシンプルなExcel表で十分に回ります。何を仕入れ、何が残り、いつ欠品したかを書き留めておくこと。それだけで価値の大半は得られます。
限界が見えてくるのは、複数の人が複数の場所から在庫を出し入れするとき、繁忙期が忙しすぎて誰も表を更新できないとき、あるいは実際に見に行って数えないと残りがわからないときです。そうなると、チームで同じ数字をリアルタイムに共有できる仕組みが役に立ちます。
季節商品の在庫管理チェックリスト
- 季節商品をすべて書き出し、それぞれのシーズンを明記する。
- 前シーズンの消費量、ピークの時期、欠品、売れ残りを確認する。
- 今年変わったことを反映する。
- 仕入れ先のリードタイムを確認し、最終発注日を決める。
- 立ち上がり分を発注し、ピーク時の補充を計画する。
- 繁忙期に向けて在庫アラートの数を上げる。
- 置き場所を空けてラベルを貼り、予備と前線を分ける。
- 持ち越す・売り切る・返品する・寄付する、をあらかじめ決める。
- シーズンの終わりに在庫アラートの数を下げるか、外す。
- 最後に棚卸をして、残ったものの行き先を記録する。
Tana でできること
Tana はチームで使う在庫管理アプリで、季節商品の計画に欠かせない「記録」の部分を担います。iPhone、iPad、Mac、またはウェブブラウザから、チーム全員が同じ数字をリアルタイムで確認できるので、売り場の担当者と発注する担当者が同じ在庫数を見ながら動けます。
季節在庫に関しては、次のような使い方ができます。
- すべての変更の履歴: 誰が、いつ、どのストレージで数量を変えたかが残ります。シーズンがいつ動き出し、いつ欠品したかの記録そのものです。有料プランでは履歴を長期間保存できるので、次のシーズンを計画するときに前シーズンの記録を振り返れます。
- 在庫アラート: アイテムごとに設定でき、ホーム画面に表示されるほか、メールとプッシュ通知、必要に応じて Slack チャンネルにも届きます。繁忙期は数を上げ、終わったら下げましょう。アイテムごとの発注メモに、仕入れ先の情報をまとめておけます。
- 入荷予定: 待っている納品を予定として登録し、当日にリマインダーを受け取れます。
- ストレージ: バックヤード、売り場、車両などを分けて管理し、ワンタップで在庫を移動できます。
- タグ: 季節商品をまとめて、すぐに見つけられます。
- 棚卸: = ボタンで、シーズン終了時に数えた数量をそのまま記録できます。
- CSV エクスポート: 在庫をどの表計算ソフトでも開ける形式で書き出し、自分たちの計画に使えます。
Tana にはカード登録不要の無料プランがあり、有料プランはチーム単位でご利用いただけます。
よくある質問
季節在庫とは何ですか?
季節在庫とは、行事や新学期、天候の変化など、予測できる繁忙期の前に積み増しておく在庫のことです。需要が高まる時期に欠品せずに対応し、ピークを過ぎたら減らしていきます。
季節商品はどれくらい前から仕入れればよいですか?
前シーズンに需要が伸び始めた時期から逆算し、仕入れ先のリードタイムと、繁忙期の遅れに備えた余裕を差し引いて決めます。一度にすべてを仕入れるのではなく、序盤の数週間分を初回に仕入れ、ピーク中に補充するのがおすすめです。
季節商品の過剰在庫を防ぐにはどうすればよいですか?
前シーズンの実績をもとに発注し、段階的に仕入れ、最終発注日を決め、売れ残りの扱いをシーズン前に決めておくことです。シーズンの終わりには在庫アラートの数を下げ、再発注が続かないようにします。
売れ残った季節商品はどうすればよいですか?
劣化しないものは翌シーズンに持ち越し、需要があるうちにセット販売などで売り切り、仕入れ先が応じる場合は返品し、売れる見込みのないものは転用や寄付を検討します。手元に残すものは数を数えて記録しておきましょう。
季節商品の在庫管理はExcelでもできますか?
はい。季節商品が少なく、担当者が一人であればExcelでも管理できます。ただし、繁忙期に複数の人が複数の場所から在庫を出し入れするようになると、表を最新の状態に保つのが難しくなります。